2 電気・電子機器を作るための能力
知識は重要です。考える基となる知識がなければ、なにもできません。塩は“からい”と知っているから味付けができるのであり、熱を加えると柔らかくなるとしっているから調理できるのです。装置の仕組みを知り、使われているパーツのことを知り、組立に使われている技術を知り、使い方を知っている、これらの「専門知識」がなければなにもできません。
しかし、“知っている”ことと“作ることができる”ことは同じではありません。
さて、ここで“作る”と記しましたが、エンジニアの“作る”は、ふつうの人の“作る“こととは同じではありません。
料理本があれば、料理を作ることはできます。しかし料理本に載せるレシピを作るのはプロのシェフの仕事です。プラモデルを買ってくれば、模型を組み立てることはできます。しかし、プラモデルそのものを作ることは模型会社のエンジニアでなければできません。秋葉原でパーツを買えばコンピュータは組み立てられます。しかし、コンピュータのパーツは半導体メーカや部品メーカでなければ作れません。
エンジニアの“作る”能力とは、既知の原理や既存のパーツや新しい技術を組み合わせて、今までにないものを「デザイン(設計)」することなのです。