例年、8月上旬~中旬の夏休み期間に、松江工業高等専門学校はオープンキャンパスを開いています。
目玉はなんと言っても各学科で行う『ミニ実験実習』です。それぞれの専門分野に関したちょっとした『もの作り』の体験ができます。
ここでは機械工学科のオープンキャンパスの内容をお伝えしますので、気になった人は、是非、本年度、もしくは来年度のオープンキャンパスに来てください!
そもそも「機械」って、なに?
さて、みなさんは「機械」と聞いてどんなものを想像するでしょうか?
身近な機械といえば自動車や電車がありますね。他にも飛行機・ロケット・船……。乗り物が浮かんでくるでしょうか?
でも分かっている人はきっと、掃除機や冷蔵庫などの家電もパソコンだって携帯電話だって立派な「機械」だと思っていることでしょう。正解です。私達の身の回りは機械で溢れていると言っても過言ではありません。
でも、ちょっと疑問に思いませんか?
車とパソコン……全然違うじゃないですか。どうして同じ機械と言えるのでしょう? 「機械」って一体何なのでしょうか?
ということで、現在の「機械」の定義を見てみましょう。
一言で言えば
・動力を受けて目的に応じた一定の運動・仕事をするもの。
細かく言うと次の三つが成り立っているものでしょうか。
・外からの様々な入力に対して機能を失うことのない素子で構成されている。
・各素子が相対的かつ定まった作用をする。
・供給された入力を目的に応じた出力にする。
なるほど。分かりましたか? 分からない? 大丈夫です。普通です。でも実はそんなに難しいことは言ってません。言葉が難しいだけです。簡単に言い換えましょう。
・変なことをしない限り壊れない。
・色んな部品でできている。
・電気などの動力を与えられると、動いて役目を果たす。
こうして言うと当たり前なことですね。例えば自転車で言えば、ペダルを踏む力を色んな部品を介して車輪を回す力に変換して、人間より速く走る事を目的としますね。当然、ただ走っているだけで壊れたりなんかしません。それが「機械」なのです。
リンク機構を知ろう!
現在の多くの機械は回転の力を使って動いています。エンジンしかりモーターしかり。でも、実際の機械は回転するばかりではないですね。
扇風機を思い浮かべてみてください。扇風機の羽根はモーターで回転しています。だから涼しい風が吹いてきます。でも、あの頭の後ろに付いているポチを押し込むと、あいつら首を振り出しますよね。あれ、なんであんな動きをするのか不思議に思いませんか?
扇風機にはモーターが一つしかついていないのに、どうしてあんな不思議な動きをするのでしょう?
その不思議な動きをさせているのが「リンク機構」と呼ばれるものです。リンク機構とはリンク(節)を使って回転運動を直線運動に変換したりするものを言います。下の図を見てください。
この図の青い部分がモーターで、回転しています。そこに図のようなリンク(節)を取り付けると、星の部分が行ったり来たりと同じ運動を繰り返し行います。この周期的な運動を色々考えて、便利な動きにしたのが「リンク機構」というものなのです。
テオ・ヤンセンのリンク機構
リンク機構はずっと昔から存在しています。でも、最近になって少し有名になったリンク機構があります。
それが「テオ・ヤンセンのリンク機構」です!
どうですか? 気持ち悪い動きをしていますね。海風の力を使って浜辺を歩くので『浜辺のけもの=ストランドビースト』と名付けられています。
これもリンク機構です。胴体の真ん中で回転する軸を持っていて、その回転運動で脚を動かしています。そのリンクの長さ、大きさ、組み合わせ……そういったあれこれを考えて、この不思議な動きをする物体が出来上がっているのです。
さて、この不思議な動きの「テオ・ヤンセンのリンク機構」。
どんな仕組みで歩いているのか興味ありませんか?
興味が湧いた人、是非、松江高専オープンキャンパスの機械工学科の工作教室に来てください。
実際にこの「テオ・ヤンセンのリンク機構」を使った4足歩行ロボットを作ってみて、機械の仕組み、動くものを作る楽しさ。そういったものを一緒に学びましょう!
ちなみに、実際に作るロボットはこんな感じです。
ちっちゃいロボットですけど、こいつも結構気持ち悪い動きをしますよ。